●硝子の縁 : 剥製の人間
"Edge of glass : Stuffed human”
2013
博物館の中は温度20℃ 湿度55% 照度50lxと管理された空間である
おまけに動線も見方も示唆した秩序の中に収集された品が陳列されている
過去に使用された物や生活はやや冷たい空気にふれて静かに存在している
あくまでも作為的に作りこまれた空間の中で過去の一瞬を切り抜いて存在する
ショーケースやガラスの間仕切りは 収蔵品保護を目的として
その内と外を分ける境界が存在する そこに写し出されるものに私は触れたくなる
マシュマロのようにふわふわで固く 黒ずんでいるが限りなく透明であり
それでいて強い想いと曖昧な感覚をもち 鮮明でいて密やかに狭間を垣間みる
無反射や低反射のガラスでなければ 写り込みと実際の展示物で複合的な画面として見える
反射したものも透過して見えたものも この狭間の中にある次元を作り出すことが
そこに触れることができる瞬間と感じている 空間を二次元に置き替える
それはカメラのファインダーをのぞいた時のフォーカシングスクリーンのようである
私はそれを潔白な嘘の美しい空間を作り妖艶な術で真実に見せたいと思っている